【ASD】社会の「見えないルール」を攻略する翻訳術 〜空気を読む代わりに『ロジック』で動く〜
「空気を読む」なんて無理ゲーは、もうやめにしませんか?
「普通はわかるでしょ」
「もっと空気を読んで」
「行けたら行くね(=つまり、行かない)」
こんな「言葉にされない謎のルール」の集中砲火を浴びて、立ち尽くしてしまったことはありませんか?
まるで自分だけが攻略本を持たずに、いきなりハードモードのゲームに参加させられているような感覚。周りのみんなが当たり前のようにクリアしていくクエストで、自分だけが壁にぶつかり続ける。これ、本当にしんどいですよね。
でもそれは、あなたの能力が低いからではありません。
ただ単に、脳のOS(オペレーティングシステム)の種類が、多数派の人たちとは少し違うだけなんです。
もしあなたがWindowsを使っていて、周りがみんなMacを使っていたらどうでしょう? 当然、データのやり取りで文字化けしたり、ソフトが起動しなかったりしますよね。これと同じことが、人間関係でも起きているだけ。
ASD(自閉スペクトラム症)の特性を持つあなたが持っているのは、驚異的な集中力や、独自の視点という素晴らしいハイスペックなWindowsマシンです。ただ、こと「対人関係」というソフトにおいては、ちょっとした変換アダプタが必要になることがある。
だから、無理をしてMacになろうとしなくていいんです。
今日は、あなたのその素晴らしいOSを最大限に活かすための、社会の言葉を「翻訳」して、ロジックで攻略する技術についてお話しします。
攻略法1:まずは自分の「仕様書」を作る
翻訳機を作る前に、まずは自分のOSがどのような特徴(仕様)を持っているのかを正確に把握しましょう。 どこが得意で、どこでエラーが起きやすいのかを知ることが、対策の第一歩です。
RIKKAの自閉スペクトラム症(ASD)セルフチェックで客観視する
自分自身のことを「こだわりが強い性格」だけで片付けていませんか? RIKKAの発達障害セルフチェックでは、ASDの傾向を数値化して確認することができます。
- 社会性: 集団行動や「暗黙の了解」への苦手意識。
- コミュニケーション: 言葉の裏を読むことや、比喩表現の理解度。
- 想像力(こだわり): 変化への対応力や、興味の対象の限定性。
診断結果は、あなたを型にはめるためのものではなく、自分専用の「取扱説明書」を作るための貴重なデータです。 まだの方は、ぜひ自閉スペクトラム症(ASD)セルフチェックで自分のパラメータを確認してみてください。
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攻略法2:「適当に」という魔物を「数字」で封じ込める
ASD脳にとって最大の敵。それは「適当に」「いい感じで」「なるべく早く」といった、実体のない幽霊のような言葉たちです。
「適当って、どの程度?」 「なる早って、今すぐ? それとも明日の朝?」
そんな疑問が頭の中をグルグル回って、結局フリーズしてしまう。
この攻略の鍵は、そんな曖昧な言葉(変数)を、すべて「数字(定数)」に置き換えて再入力することです。
翻訳の実践例
「これ、適当にやっといて」
「所要時間は30分くらいでいいですか?」「完成度は8割を目指せばいいですか?」
「なるべく早くお願い」
「今日の17時までですか?それとも明日の朝イチですか?」
「いつでもいいよ」
「では、来週の水曜日の14時はいかがですか?」
💡ポイント:質問を恐れない
「こんなことを聞いたら怒られるかも」と思う必要はありません。「正確に仕事を遂行したいから確認する」という姿勢は、むしろビジネスにおいては信頼につながります。 自分の脳が理解できる「数字」を引き出すまで、コマンド(質問)を入力し続けましょう。
攻略法3:雑談は「心を込めない」ままでいい
エレベーターで一緒になった時の沈黙。「最近どう?」という中身のない会話。
目的の不明確な雑談は、正直苦痛以外の何物でもないですよね。「何か面白いことを言わなきゃ」と焦れば焦るほど、頭が真っ白になる。
でも、社会生活というクエストをクリアするには、避けて通れない道でもあります。
ここでは、あえて心を込めずに「事務的に処理」するテクニックを使いましょう。
昔からの営業テクニックに『木戸に立てかけし』というものがありますが、これが意外と使えます。話題に困ったら、このキーワードを順番に出すだけ。
気候(き)の話をして、道楽(ど)つまり趣味の話を聞いて、ニュース(に)の話を振る。
必殺技:オウム返しの術
相手の話に興味が持てない時は、無理にコメントを考えなくてOKです。相手の言葉の語尾を繰り返すだけで、「共感している」というフラグが立ちます。
- 相手:「昨日、美味しいラーメン食べたんだよね」
- あなた:「へえ、美味しいラーメンですか」
- 相手:「そう、すごく並んでてさ」
- あなた:「並んでたんですね」
これで十分です。会話のキャッチボールにおいて、あなたは名捕手になる必要はありません。ただ壁打ちの壁のように、ボールを跳ね返すだけでコミュニケーションは成立します。
「へぇ」「そうなんですね」と返しているだけで、相手は「話を聞いてくれている」と満足してくれるものなんです。
攻略法4:「感覚のバリア」で脳のメモリを守る
オフィスの話し声、蛍光灯のチカチカする光、服のタグのチクチク……。
多くの人が気にも留めない刺激が、あなたの脳のCPUをものすごい勢いで消費していることがあります。
これは我慢してどうにかなるものではありません。RPGで裸で戦場に出ないのと同じように、物理的な装備で防御力を上げましょう。
物理的装備でステータスを守る
我慢するのではなく、物理アイテムで防御力を上げましょう。
- ノイズキャンセリングイヤホン: 現代の「耳栓」です。音が消えるだけで、疲労度は半分以下になります。
- ブルーライトカットメガネ: 視覚情報の刺激を減らし、画面への集中力を高めます。
- 同じ服・同じ食事: スティーブ・ジョブズのように、決断の回数を減らす「ルーチン化」は、脳のメモリを節約する有効な手段です。
「わがまま」ではなく「パフォーマンス維持のための調整」です。 堂々と環境を整えましょう。
まとめ:あなたは「異世界の攻略者」です
この社会のルールブックは、残念ながら多数派の人たちに合わせて書かれています。
だから、あなたが生きづらさを感じるのは当然のこと。それはあなたが劣っているからではなく、単にこの世界の仕様が、あなたのOS向けじゃないだけ。
でも、翻訳術とアイテムを駆使すれば、この世界は十分に攻略可能です。
感情や空気に流されず、論理と数字で物事を捉えられるあなたのその特性は、エンジニアリングや研究、正確さが求められる分野において、誰にも真似できない圧倒的な武器になります。
自分のOSを無理やり書き換えようとしないでください。
その独自のシステムを誇りに思い、外付けの翻訳機を使って、少しだけ社会と接続する。それくらいの距離感で、あなたらしい人生を歩んでいきましょう。
自分を知ることは、最強の装備を手に入れることと同じです。さあ、新しい攻略の旅に出かけましょう。
あなたの「仕様」を再確認しよう
「もしかして自分も?」と思った方、あるいは「もっと詳しく自分の傾向を知りたい」という方は、RIKKAの発達障害セルフチェックを活用してください。
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※本コラムは情報の提供を目的としており、医師の診断に代わるものではありません。日常生活に大きな支障を感じている場合は、医療機関への相談をお勧めします。